北朝鮮の暴挙
2006-07-05


北朝鮮が、日本時間5日未明から、断続的に数発の弾道ミサイルなどを発射したという。まだ、公表された情報も乏しく、その意図や政治的効果について断定的なことは言えない。しかし私たち日本人が、隣国のこの行動をどう読み、どのように対応すべきかについて、緊急に私の考えを述べてみたい。
 午前6時すぎの安倍官房長官の発表によれば、これらのうち3箇は、いずれも日本海に「落下」し「被害は確認されていない」という。5月中旬から、米軍によって発射準備が察知されていた、アラスカまでを射程距離に入れると見られる「テポドン2」が、この中に含まれているのかが、まず重大な評価点である。中ロが発射を知っていたのか、平壌宣言を敢えて無視した理由も重大だ。
 発射準備に対応し、日本海には日米少なくも5〜6隻のイージス艦が警戒態勢に入っていたはずで、「落下」が単なる落下なのか「撃墜」なのかもキー・ポイントである。
 もし中距離ミサイルの「撃墜」すらなかったとしたら、日米のミサイル防衛に深刻な懸念が生ずる。もっとも、「スカッド」や「ノドン」といった中距離ミサイルは、1時間程度で発射可能とされ、地球上空を回っている米の偵察衛星も、完全には発射準備の探知はできない。
 つまり、「撃墜」がなければ、日本列島を射程に納める中国や北朝鮮の数百個のミサイルに対し、今の日本の迎撃防衛は、ほとんど無力である現実を示す。もちろん、これらのミサイルに小型の核弾頭を搭載することが可能だ。こうした国家との外交をどのように進めるか、日本人は「核のタブー」さえ外して、虚心かつ現実的に対応しなければならない時だ。
 日本時間5日の発射は、4日の米独立記念日や、NASAのスペース・シャトルの打ち上げ、韓国調査船の竹島海域の調査開始、北京の日本人記者団の平壌招待、6日のブッシュ米大統領の誕生日などを計算に入れた、したたかなプロパガンダの色が濃い。
 政府は、安保理への付託や、北朝鮮への経済制裁を当面の対応とする由だが、国民一人一人に、「核」が抑止力となった時代に適合した民族自衛への決断が迫られている。(;)

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