やり過ぎだ米
2006-05-04


日本メディアのワシントンからの報道に、いささか隔靴掻痒の感を免れないテーマの1つが、米議会でのイラン制裁立法の動きである。
 下院本会議は、4月26日、「イラン自由支援法=The Iran Freedom Support Act」案を賛成多数で可決し、法案は上院に送られた。この法律案は、今年8月で失効する「イラン/リビア制裁法」に代わるものとして、イランの核兵器開発の阻止を狙った経済制裁策を成文化しようとするもの。大統領府から漏れて来る"イラン侵攻切迫"の情報と相まって、その行方には目が離せない。
 というのも、「イラン自由支援法」の目標が、イランの核兵器開発や人権抑圧・イスラエルへの威嚇などを阻止するため、イランの石油・天然ガスなどのエネルギー開発に対する第三国の投資を規制することにあるからだ。
 具体的には、イランのエネルギー関係資源に一定額以上の投資を行った第三国の企業や政府機関に、アメリカの政府機関との取引を禁止するとの条項を盛り込んでおり、定額は2,000万ドルと想定されている。
 ところで日本は、輸入原油の約16%をイランに依存しており、加えて2004年2月、国際石油開発(株)が、推定埋蔵量260億バレルと中東で最大級という同国南西部のアザデガン油田の開発権益の75%を獲得、総額約20億ドルを投入しようとしている。問題なのは、この法律の主な規制対象に、このプロジェクトが想定されている点だ。
 ブッシュ政権は、すでに日本に対し、政治的判断によるアザデガン計画の断念を迫っている。中国は、これを承知の上で、間もなくイラン政府と石油と天然ガスの開発をめぐる総額約1,000億ドルに上る契約を結ぶと4月末に公表し、米国を苛立たせている。
 目的が何であれ、資源大国が資源小国を縛る、米国のやり方は公正と言えるだろうか。やはり、やり過ぎだベィ。(;)

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